メモ
以下は与謝野氏と首相の質疑の抜粋．衆議院TV[6]で映像を観たあと，テキストは産経新聞の記事[7]から引用．
- 首相「結果として私のお金を収入[1]として書くのではなく、実際には架空の名前を使って虚偽記載したと理解している。私や秘書が実際には名前を書けないようなところからお金をいただき、名前を出すことができないからということではない」
- 与謝野氏「ならば政治資金規正法違反ではないか。あなたのお金を１千万円以上使っている。量的制限[2]をオーバーしている。それを認めないといけない」
- 首相「秘書から言われるままに自分で署名して自分のお金を政治資金のために使うようにしたが、当然貸し付けという形で彼が工面していたと理解している。違反行為をあえて知っていて行っているという認識はない。寄付をするつもりもまったくなかった。貸し付けという形に当然なっていると思う」
寄付ではなく貸付として取り扱われると考えていた．違反行為の認識は無いとの主張． - 与謝野氏「あなたが不起訴になったのは、首相を起訴できない[3]からだ。安心してはいけない。検察は起訴権を留保している。全部シロという保証はない。支出は何も問題ないというが、検察庁はそんなことを保証するのか」
- 与謝野氏「民主党の（衆院）北海道９区支部を含め、献金していないのに献金していると記載したのは地方議員で何人か[4]」
- 与謝野氏「徹底調査すべきだ。これだけ脱税したら国民は実刑をくらう。菅氏は正義の味方と思ったら、個別案件は言わない方がいいと。３月１５日に確定申告が来る。その前にきちんと整理した方がいいのではないか。税務調査をお願いしたい」
- 首相「まったくの作り話だ。こういう話をされると、兄弟といっても信じたくない。今の話は母にたずねていただいても結構だ。母にそのようなお金の無心、子分に配るお金をくれなんていうわけない。この中のだれにも差し上げていない[5]」
感想
与謝野氏の質問は正論であると思う．世の中では，与謝野氏自身の政治資金に不透明な点があるとか，経済等々で議論すべき重要な議論があるとして，与謝野氏の質問を評価しない向きもあるようだが，だからと言って鳩山首相の問題が許されるものではない．民主党にとっては幸いにして，まだ自民党よりも支持率は遥かに高いわけだから，与謝野氏自身が意見を述べたように，この際鳩山首相には退場してもらい，より適切な議員を首相とした方が，民主党自体にとっても，日本にとっても望ましいのではないだろうか．
資料
- 2009年秋頃に，読売新聞などで偽装献金の総額は約2100万円で原資は鳩山首相の個人資産と報道されたようだが，これらのニュースサイトの記事はリンク切れ．
- 政治資金規正法「第二十一条の三 政党及び政治資金団体に対してされる政治活動に関する寄附は、各年中において、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる額を超えることができない。 一 個人のする寄附 二千万円...」とある．自身の政治団体への資金提供であっても量的制限が存在するため，前述の資金提供が寄付であれば，鳩山首相は政治資金規正法違反に問われる．
- 日本国憲法「第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。」を指しているか? つまり首相は自身が認めない限り訴追されることはないと．
- 租税特別措置法「第四十一条の十八 個人が...政治活動に関する寄附をした者は，....所得税法第七十八条第二項 に規定する特定寄附金とみなして、同法 の規定を適用する。」つまり，政治団体に寄附をすると，税制上の優遇措置がある．寄附をしたことは政治団体側が証明書?を発行するらしい．この制度を悪用した所得税逃れも可能らしい．
- 総務省政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書のページで公表されている友愛政経懇話会の収支報告書によれば，政治活動費の内訳の中に，民主党議員と思しき複数の団体(例えば「海江田万里を支える会」に百万円など)への寄付金が報告されている．自民党や他の党において同様の事例の有無は調べてないから，鳩山首相だけ取りあげるのは不公平ではあるが．
- 衆議院TVから委員会の映像が見られる．
- msn産経ニュース, 【鳩山ｖｓ与謝野】（１）衆院予算委・与謝野氏「首相は政治家失格だ」（１２日午前）より，質疑を文字におこしたものが読める．
