2011年7月27日水曜日

外国人による国内放送局の株式の取得

はじめに

インターネット上で,外国人が保有するフジテレビや日本テレビなどの株式の割合についての議論が見られる.中には「放送法で議決権を有する株式の外国人の保有率は20%以内と定められている」といった発言も有り,少々気になったので可能な範囲で資料を整理したいと思う.


認定放送持株会社

放送法(昭和二十五年五月二日法律第百三十二号)(最終改正:平成二二年一二月三日法律第六五号) は,テレビやラジオなどの放送や,NHK・放送大学などについて定める法律.である.外国人の株式保有率に関する箇所は,第三章の四 認定放送持株会社 (認定)第五十二条の三十 の事のようである.


第五十二条の三十  二以上の一般放送事業者(当該二以上の一般放送事業者に一以上の地上系一般放送事業者(無線局であつて、人工衛星の無線局及び移動受信用地上放送をする無線局のいずれでもないものにより放送を行う一般放送事業者をいう。以下同じ。)が含まれる場合に限る。以下この条、次条第一号並びに第五十二条の三十七第二項第一号及び第二号において同じ。)をその子会社とし、若しくはしようとする会社又は二以上の一般放送事業者をその子会社とする会社を設立しようとする者は、総務大臣の認定を受けることができる。
2  総務大臣は、前項の認定の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の認定をしてはならない。
一  当該認定の申請をした会社又は当該認定を受けて設立される会社(以下この条において「申請対象会社」という。)が株式会社であること。
二  申請対象会社が、一般放送事業者でないこと。
三  申請対象会社の子会社(子会社となる会社を含む。以下この条において同じ。)である一般放送事業者(これに準ずるものとして総務省令で定めるものを含む。)の株式の取得価額(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときは、その価額)の合計額の当該申請対象会社の総資産の額(総務省令で定める方法による資産の合計金額をいう。)に対する割合が、常時、百分の五十を超えることが確実であると見込まれること。
四  申請対象会社及びその子会社の収支の見込みが良好であること。
五  申請対象会社が、次のイからリまでのいずれにも該当しないこと。
イ (1)若しくは(2)に掲げる者が業務を執行する役員である株式会社又は(1)から(3)までに掲げる者がその議決権の五分の一以上を占める株式会社
(1) 日本の国籍を有しない人
(2) 外国政府又はその代表者
(3) 外国の法人又は団体


いわゆるテレビ局は,総務省が認定する認定放送持株会社の子会社である.例えば,株式会社フジテレビジョンは株式会社フジ・メディア・ホールディングスの100%子会社で,このフジ・メディア・ホールディングスが認定放送持株会社となる.この認定放送持株会社の議決権を有する株式について,外国人が保有する割合が20%を超えているのではないかとよく言われる.



認定の取り消し

放送法には認定放送持株会社の認定を取り消す場合の条件が記述されている.

(認定の取消し)
第五十二条の三十七  総務大臣は、認定放送持株会社が次の各号のいずれかに該当するときは、その認定を取り消さなければならない。
一  第五十二条の三十第二項第五号イからリまで(ホを除く。)のいずれかに該当するに至つたとき。

つまり,巷で話題になっている外国人の株式保有率が20%を超えた時に,総務大臣は認定を取り消さねば放送法に抵触することになる.


外国人の株式保有率

「そういわれても,外国人株式保有率なんて一々調べられない」とも思った.しかし,ほふりの愛称で知られる証券保管振替機構はご丁寧に日々保有率を公開 (jasdec.com)している.以下はリンク先の説明.

外国人保有制限銘柄の発行会社、機構及び口座管理機関の合意に基づき、外国人保有制限銘柄ごとに、口座管理機関から日々報告された、前営業日最終時点の外国人が保有する外国人保有制限銘柄である振替株式の数を分子、振替口座簿に記録された当該銘柄の振替株式の数を分母とする比率(外国人直接保有比率)等の公表を行っております

ただ,議決権や配当を受け取る権利など,株式に関する権利が確定するのは権利確定日(株主確定日などとも.参照 野村証券の説明 (nomura.co.jp))と呼ばれる特定の日付のようである.従って,毎日この保有率を監視していても意味は無く,それぞれの会社の確定日,例えばフジ・メディア・ホールディングスの場合は3月末と9月末(参考: 株主・投資家情報 配当・株主還元)に注目することになる.因みに,ほふりのページでフジ・メディア・ホールディングスの直近確定情報を見ると「外国人保有比率 19.99%」となっている.なぜか?


名義書換拒否

前述のほふりのページは過去の保有率の推移を CSVファイルでダウンロード可能である.そこで,2011年3月末頃の保有率を見ると,一時的であっても減っている気配が無い.

日付外国人直接保有比率
2011/03/3129.15%
2011/04/0129.23%

放送法施行規則というものがある.これは「放送法 (昭和二十五年法律第百三十二号)を施行するため、電波監理委員会設置法(昭和二十五年法律第百三十三号)第十七条 の規定により、放送法施行規則を次のように定める」という,放送法を実際に運用するための規則集のようである.そこには,以下の条項がある.

(株主名簿に記載し、又は記録する方法)

第十七条の三の二  法第五十二条の八第二項 の総務省令で定める株主名簿に記載し、又は記録する方法は、次の各号に掲げる方法とする。

一  電波法 (昭和二十五年法律第百三十一号)第五条第四項第三号 ロに掲げる者のうち、その者が占める法第五十二条の八第一項 に規定する一般放送事業者の議決権の割合が十分の一未満であるものが有する株式(電波法施行規則 (昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第六条の三の二第三項 (同条第四項 の規定の適用がある場合を含む。)に規定する計算の対象となる場合における議決権に係る株式を除く。)については、そのすべてについて記載し、又は記録する。

二  法第五十二条の八第一項 の外国人等(電波法施行規則第六条の三の二第五項 の規定に基づきそのすべてを間接に占められる議決権の割合(次条において「間接議決権割合」という。)とされる議決権に係る株式を有する法人又は団体を含む。以下この条及び第十七条の三の四において「外国人等」という。)のうち通知を受けた時点の株主名簿に記載され、又は記録されている者が有する株式(前号に規定する株式を除く。)については、当該名簿に記載され、又は記録されている株式の数と通知に係る株式の数のうち、いずれか少ない数(以下この号において「記載・記録優先株式の数」という。)を当該外国人等に係る株式の数として一株単位(単元株式数を定款で定めている場合にあつては、一単元の株式の単位。以下同じ。)で記載し、又は記録する。この場合において、法第五十二条の八第一項 に規定する欠格事由(以下この条において単に「欠格事由」という。)に該当することとなるときは、外国人等が有する株式について、欠格事由に該当することとならない範囲内で、記載・記録優先株式の数に応じて一株単位で案分して計算することにより記載し、又は記録する株式を特定し、なお残余があるときは、一株単位の抽せんにより記載し、又は記録する株式を特定して記載し、又は記録する。

外国人が保有する株式が20%を超える場合は,越える部分について株主名簿に記載せず,株主名簿上は20%未満を維持することができるようである.それで,フジ・メディア・ホールディングスの IR 資料を見ると,外国人株式保有率が不自然に 19.99 %になっている.

しかし,株主名簿に記載されないと,議決権だけでなく配当金を受け取る権利などが得られない.株式を保有する外国人にとってメリットが無くなってしまうのか.一般にはこのような懸念が有るが,フジ・メディア・ホールディングスについては,株式手続きのご案内に以下の記載があり,少なくとも配当金は得られるようである.


※名義書換を拒否した外国人に対する配当金の支払いについて

当社は、平成21年1月5日以降、基準日株主が行使することができる権利のうち議決権以外の権利について、総株主通知により通知される基準日時点の株式保有者がこれを行使できるものとし、平成21年3月31日を基準日とする配当金より、議決権比率20%以上となり名義書換を拒否する外国人に対しても支払いを行います。


まとめ

まだ細部で不明な点が有るが,外国人の株式保有率は20%以内の放送法での制限を満たしつつも,外国人が株式の保有数を増やす仕組みがあるようである.議決権が無く,会社の運営に直接影響を与えられないとはいえ,大量の株式を保有する外国人投資家がこれを手放すことで,株式価格を操作できること等を考慮すれば,間接的に外国人による影響を受けることは否定できない.つまりは,日本のテレビ局の番組の内容が,外国人の影響によって偏向しているとすれば,非常に大きな問題である.


参考文献

  • フジメディアホールディングス, 株主・投資家情報 配当・株主還元
  • 河島 太朗 (国立国会図書館 政治議会課), 米英独仏における外国人の政治献金規制, 国立国会図書館 調査と情報 第542号 ISSUE BRIEF NUMBER 542, JUN. 1. 2006.(PDF)

2011年7月24日日曜日

東急本店通り 松濤郵便局前交差点付近


本日様子を見に来たところ,歩道のタイルは両側ともほぼ敷き詰めが完了していた.

この先のガレット屋さん付近からの約100メートル程度では,下水道工事や電線地中化工事が完了していない.従って,山手通りまで対面交通が可能になるのは,どれだけ早くても2011年9月下旬以降か.

他の場所に記録してあった過去のメモをこちらに移しておく.

  • 電柱は撤去済み.歩道も少しずつ完成しつつある.ガレット屋辺りまで先行して一方通行を解除するのか,松濤二丁目までの道路が完成するまでは一方通行かは不明.(2011-07-09)
  • 今後の工事計画が掲示されていた.6月中に電柱が撤去されるらしい. (2011-06-19)
  • 東急本店から見て左側に車を通している.右側は歩道を築造中.電柱はまだ撤去されていない. (2011-06-05)

2011年7月16日土曜日

興味の有る工事に関するメモ

最近見つけたページをこちらに貼っておく.


Reports for the future ~未来へのレポート~

  • 通常のブログの範囲を超えた充実した内容.
  • 東京近郊の鉄道関連工事が多い

シモキタのtokyoboy

  • ブログ自体は下北沢近辺の情報.
  • その一部として,補助第26号線や井の頭通りの工事の話が時々混じる.